「人」こそが「最大のメディア」になり「ブランド」を創る (ザッポスの奇跡)
Posted by kUtsunomiya | Posted in Book, Inspiration, Marketing, Strategy | Posted on 17-02-2010
ザッポスの奇跡
ようやく読みましたが、読みながらはっと目が覚める、そして熱くなってくる、素晴らしい本です。
ザッポスとは、靴を販売するアメリカのネット通販企業。
昨年アマゾンが買収した企業でもあるのですが、
「最高の顧客サービスで知られる企業になる」というビジョンを掲げたこの企業の取り組みについて、
丁寧に、分かりやすく紹介されています。
多くの人にオススメしたいと思う、あまりに感動した本なので、少々長いですが整理をしてみます。
・従来とは全く異なる、コールセンターへの考え方
ザッポスが、まず他社と違うところは、コールセンターへの考え方について。
一般的にコールセンターでは、1件あたりの処理時間が、生産性を測る指標として使われています。
なぜなら、サービスは通常「コスト」として捉えられる、ためです。
が、ザッポスは、そうは考えない。
顧客を満足させるためだったら、ひとつのコールに何時間費やそうとも、とがめられることはない。
実際、創業以来今までの最長記録は、4時間だそうです。
そしてさらに凄いのが、顧客の欲しい商品の在庫がなかった場合の対応の仕方。
そういった場合には、他社のサイトを必ず最低3つはチェックして
その靴を入手できるところがないかどうか調べるよう、「教育」されているというのです。
「今、この商品を売るんだ!」ということでなく、
「顧客を満足させるために、『普通』を超えるサービスを提供できたかどうか?」
それが、ザッポスにおいて最大の指標となっているという点。
ここまでな顧客サービスの徹底さは、エンターテイメントやホスピタリティ業界以外では
まず見られないことなのではないでしょうか。
24時間稼動するコールセンターと物流センター。
そして、時間も販売機会も顧みない、徹底的な顧客サービス。
そのコストを考えれば、なんでここまでしようとするのだろう?
これらを無くせば、もっと利益が上げられるだろうに。
そう考えてもおかしくないと思います。
その理由と取り組みこそが、自分が最も感動した、ザッポスの奇跡です。
・「顧客サービスをないがしろにする余裕は、僕たちにはない」
ザッポスが他の「ネット通販会社」と大きく異なるのは、
「コールセンターの存在そのもの」を全面に押し出していることです。
アマゾンを始め、従来的な「ネット通販会社」は、コールセンターの電話番号を
わざと見つけにくくしているところが多くあると思います。
極力、直接の問い合わせは避け、コールセンターを稼働させるコストを削減していく考え方です。
が、ザッポスではどのページにも、ヘッダへフリーダイヤル番号が大きく表示されています。
それについて、こんな話が出てきます。
「ザッポスでは、心からお客さんと話したいと思っている。その表れです。」
「5分、10分というまとまった時間を、顧客が、何も邪魔されずに私たちの言うことに
神経を集中して耳を傾けてくれる、そんなチャンスが他にありますか?」
「普通の会社ならTV広告やマスメディア広告に大枚をはたくところを、
ザッポスではその道を選ばず、代わりに顧客サービスに投資しているのです」
「ザッポスの成長の糧は、リピート顧客であり、口コミなのです」
「まずサービスを中核とした企業文化を築いて、育むこと。そうすれば成果は後からついてきます」
これが、これまでの疑問の全ての回答となっているかと思います。
つまり、ザッポスでは、サービスを「コスト」として全く捉えてなく、
コールセンターの電話対応は、「またとないブランディング機会」と捉えているのです。
サービスとは「ブランドを築くため」「顧客ロイヤルティを築くため」の『投資』。
いい体験をした顧客は、必ずまた戻ってくる。
そして、友人や家族に、その体験について話す。
顧客の心を揺り動かすサービスは、あくまで「人と人」のつながりから生まれる、ということへの強い信念。
だから、
「顧客サービスをないがしろにする余裕は、僕たちにはない」
と話すのでしょう。
・「人」が「メディア」になる
なぜ、このような発想が生まれるのでしょうか?
それは、「人と人のつながり」こそがすべて、という考え方が頂点にあるからだと思います。
それが顕著に表れているのが、顧客だけでなく、社内の社員も顧客と見なす「社内顧客」の考え方。
これは、ディズニーやリッツ・カールトンでも同様な考え方がなされていますが、
カルチャーこそが、ブランドであり、社員一人一人が「ブランドの伝道者」という考え方です。
・「顧客」に対しては、「口コミ」の働きかけ
・「社員」に対しては、「ブランディング」の働きかけ
つまり、顧客であり、社員である「人」こそがメディアとなる、ということです。
顧客を驚嘆させるサービスの提供。
社員へのハピネスを追求する経営の徹底。
それらはいずれも多大なリソースを要するかもしれません。
しかし、広告によって「つくられた」ブランドと、実体とに、もしギャップがある場合、
簡単に伝播するようになった今のネット時代においては、そこにかけたコストの多くは
簡単に吹き消されてしまうこともままあります。
であるのならば、顧客と企業とが出逢う「人」こそ、最大のメディアであり、
力を注ぐべきであり、企業と顧客のふれあいこそ「ブランディング」なのではないか?ということに
帰結しても全くおかしいことではありません。
ちなみにザッポスでも、ソーシャルメディア、特にTwitterは多く活用されています。
が、それは「顧客といつもつながっていたい」というシンプルそのものな理由によるもの。
これも、コールセンターへの考え方を知れば、とても頷けることだと思います。
また、そこで取り組まれている対話の内容についても。
「いつもつながっている」時代に、顧客が求めているのは、人間の顔をした企業である。
誰でも、人は人から買うのだ。
かなり長文となってしまいましたが、読みながら何度も目や胸が熱くなりました。
ザッポスのような組織を作ることが、容易でないことは重々承知です。
しかしながら、だから自分だってやるんじゃないか、と勇気を与えてくれることも
こうした素晴らしい企業がそこにあるからこそ始まることだと思います。
もしまだ読まれていない方は、是非とも。
もっと早く読むべきだったと思う素晴らしい本です。











