禅の発想が表現をひらく (「共生のデザイン」枡野俊明)



「共生のデザイン 禅の発想が表現をひらく」枡野俊明 (著)


「うつろうこと」に美を見いだし、「かたち」よりもそこに漂う空気を大切にする。



自然を支配するのではなく、共生(ともいき)することの価値観。
つまりは禅の世界観。
その皮膚感覚と呼吸感覚の再生を刺激する本、と言っても良いのではないかと思います。

今年最初に読んだ、とても印象的な本の紹介です。


「共生をデザインする行為」にある前提とは、「すべてのものに命がある」という事がこの本ではまず伝えられています。
つまりは、私たち人間以外の命、例えば石、木、土、水、、、。
それらに対する「畏怖や尊敬」という前提が、デザインにおいてはまず存在している、ということです。

「そこにある、命との対話」
「そこに訪れる、人の心との対話」
すなわち、「対象の心」と「相手の心」。


この2つの心へどのように耳を澄まし、最適なバランスを取り、ただしそれを制御するのではなく、時のうつろいと共に生きていく場を提供していくべきなのか?


その対話の姿勢が、禅の姿勢とともに語られるとき。
特に「宗教の先には、必ず芸術がある」と語られる一節。
自分の「ありがたい」と思う気持ち、敬う気持ち、祈りを込める気持ち。
それらを、完全というものなど存在しない、という前提とともに芸術へと注ぎ込む事。
そして、それこそが自分自身への修行でもある、という事。


これらの一節の中には、表現者の姿勢が持つべき普遍性が横たわっていると思います。


定期的に読み返すことだけでも、浸透と回復ができる思想が凝縮された本です。



ちなみに、本著者の枡野俊明氏が参加される対談イベントが、1月27日(金) 六本木 AXIS Gallery にて、ビジュアルブック『WOW Visual Design』の刊行と設立15周年が記念されたWOWによる主催によって開催されます。
とても刺激的なカンファレンスと思いますので、こちらも合わせて紹介を。

WOW Visual Design Conference and Release Party