Advertising of the Year 2011

土曜日, 12月 31st, 2011. Filed under: feature




さて、それでは最後の「広告編」を。こちらで今年最後のエントリーとさせて頂きます。

広告に関しても、同じく非常に範囲が広くありますが、
・より普遍的なインサイトに着目された施策であること
・一部の人間にだけでない、より普遍性が意識された施策であること
・従って表現の新規性、インパクトは重要ながらもそれだけでランク対象とは極力しないこと
をゆるやかなルールとしています。

なのでTVCMは数少ないですし、特にインタラクティブ系で話題となったものの不足具合には、疑問をもたれる方も多いかもしれません。
が、そこは人それぞれという事でご容赦をひとつ。

それでは、10位より順を追って。


10. “TOYOTA 86″ Web site & Facebook Page



このWebサイトとFacebookページは、「今後の企業サイト内のコンテンツとソーシャルメディアとが、本来持つべき関係性を示唆している」と言うべき、正統的でありながらも適所に新規性を持つ、見事なプロジェクトと思っています。

詳細は以前エントリーしましたので割愛しますが、
・演出だけでない、そのソーシャル設計への思想
・ビジネス要件とユーザ評価との正面からの向かい方
・スペシャルサイトを創るのでなく、サイト自体をソーシャル化するという発想
・デザイン的にも実装的にも、無理をしすぎないバランス感覚と丁寧なフィニッシュワーク
とあらゆる点で、企業サイトとして果たすべき機能をクリアしながらも、そこにオリジナリティある発想が明確に含まれている点は、多く学ぶべき事項があると思います。



9. Coca-Cola Israel “Summer Love FaceLook”



リアルな場でユーザーにある体験の機会を提供し、その体感をソーシャルメディアへと展開する「オフライン2オンライン」は、今年のバスワードの一つであったかと思います。

その中で、“Coca-Cola Village” という企画で昨年先手を取り、本ジャンル自体を開拓した Coca-Cola Israel による、その進化形となる企画。

リアルな場としては、前回同様、イスラエル各所での Coa-Cola がサポートするアクティビティ・プレイス。
その会場へ、Facebook上からイベント登録後、「FaceLook」というアプリから自分の「顔」を登録。
その後は、会場内各所でカメラマンにより撮影された自分の写真に対し、顔認証後、自動タグ付け&生成コメントと共に自分のウォールへポストされる、という仕組みです。

判定の精度が不明な点と、ポスト内容とポスト後への着目の少なさ(=機械的すぎる、リアルの熱量の伝達度が低い)から、比較的下位ではありますが、「リアルな場でのこの熱量を友達に共有したい」という普遍的なニーズと、それを活用していきたい企業ニーズへの一つの活路を見いだすこの分野の可能性には、来年も引き続き注目する必要があると思います。




8. Red Bull “Street Art View”



Google Street View を利用し、現地へ行かなければ見る事の出来ない世界中のストリートアートをアーカイブする、という Red Bull からのプロジェクト。
Os Gemeos, Banksy, Keith Harring など有名アーティストも中には含まれていたり、と観る人を楽しませる配慮もありながら、Red Bull というブランドとして、ネット上でどのような企画をすれば、ふさわしく、かつ人がよろこんでもらえるか?に向き合った施策だと思います。

また、Street View の活用の仕方にも、企画上にブレのない合致した理由がある点として、Street View を活用するうえでのお手本とでも言うべき学べる点があるでしょう。

ストリートアートを観光資源と見なすだけで、Street View はこうも役立てる事が出来る、という事が明確に確認できる事例です。



7. Touch Wood SH-08C “森の木琴”



NTTドコモにより限定発売された「TOUCH WOOD SH-08C」。
この製品が持つ、「間伐材」の利用というバックグラウンドを、そのままに美しく、壮大に、優しく表現として飛躍させたTVCM。

映像が持つ強さを感じ入る、強いインパクトと記憶に残す演出が感動的なTVCMです。




6. KONZERTHAUS DORTMUND “Concert Milk”



・クラシック音楽へもっと興味を持ってもらいたい
・そして多くの人にコンサートへ来てもらいたい
という楽団のニーズと
・もっと牛乳を多くの人に飲んでほしい
と願っている牛乳メーカーとがコラボレーションしたら?

という3つの課題を解決する、見事な着眼点による企画。

自分たちが出来る事=クラシック音楽を演奏する事、であるならば、
それを牛たちに聴かせたら、おいしい牛乳だってきっと出来そう。
パブリシティも手伝って、大いに期待できそうだ。
というまさに掛け算が生まれている企画。
そこにプロダクトとしてのデザインも付加価値として加味されている、凄いアイデアと思います。



5. Coca-Cola “Where Will Happiness Strike Next?”



「Where Will Happiness Strike Next?(今度のハピネスは、どこにやってくる?)」をテーマに、自動販売機、トラック、スーパー、飛行機と展開された、Coca-Colaからの幸せなサプライズ企画。

この一連のキャンペーンの持続によって、「コカ・コーラ」と「ハピネス」という連想とが、ぴったりと一致することになったのではないでしょうか。

新規性という枠組みからの出発点でなく、「うれしいサプライズって皆大好きだよね」という性別も年齢も国籍も超えた、普遍性あるインサイトへの徹底した着目と、「誰にでも分かる」そのシンプルさがもたらす企画としての強さ。そこにやはり素晴らしさを覚えます。


Coca-Cola Friendship Machine


Coca-Cola Happiness Truck


Coca-Cola Happiness Store


Coca-Cola Santa Claus surprised passengers in the air




4. LEVI’S “Go Forth”



今年自分が観たTVCMの中では、最も力強く、深く胸に突き刺さった素晴らしいTVCM。

今、この時代に、最も必要とされる言葉を、最も適切な表現で表された、理屈抜きに、人へ強く鼓舞する力を持つCMと思います。

「この広告は、オレに言っている」
と感じます。今改めて見直しても。

この言葉は、酔いどれ詩人、チャールズ・ブコウスキーの「The laughing heart」からの引用。
素晴らしく適切なセレクトだと思います。


そして、このグローバルキャンペーンをドイツへ展開した際の、ポルトガルのストリートアーティスト Alexandre Farto を起用した、ストリートと組み合わせたOOHも秀逸だったと思います。

ブランドの精神とストリートとが合致しているからこそ、「広告」でなく「環境」となりうる。
広告がその背景で持つべき精神性について、深く問いかけるグローバル広告だと思います。

LEVI’S® – BERLIN PRINT WORKSHOP LEVI’S® BERLIN PIONEERS from LEVI'S® on Vimeo.




3. Heineken “Star Player”



「Star Player」を初めて知ったときの衝撃度!「ああ〜、やられた!」の感覚。
とかく群を抜いて、今年圧倒的にインパクトの強かったスマホ施策だったと思います。

サッカー観ているときには、「入る!入らない!」とか言い合うよね、という普遍的なインサイト。
それを、テクノロジーによってリアルタイムなスマホアプリとして提供した点、この抑え方は本当にストレートで素晴らしいと思います。

そして、なにより素晴らしいのは、その施策が、「ハイネケンというビール市場にでなく、サッカー市場へ向いた」という、その圧倒的なパイの拡大への視点でしょう。
「ビールを飲む人へリーチするのではなく、ビールが多く飲まれるシチュエーション=サッカー観戦者へ眼を向ける」という視点のシフト。
まさにAKQAらしい、普遍的なインサイトの発見力と、テクノロジーとが結びついた素晴らしい施策だと思います。




2. BGH “Quick Cheff Music”



訴求ポイントが存在しない「電子レンジ」のコミュニケーションプランを求められたオーダーに対し、Del Campo Saatchi & Saatchi が出した回答が「広告でなく課題対象そのものへとフォーカス」。
すなわち「全ての電子レンジのタイマー音は、画一的な状況である」という市場の類似点への着目から、
「温めたり、解凍している間、音楽が流れる新機能を追加する」という商品開発自体の提案を行い、実行したその目線のシフト。
この鮮やかな回答を見たときには、鳥肌が立ちました。

「ブランドとは、本来その企業の商品とサービス、そして人によってでしか、他者に示す事が出来ない」という本質的な事項について
「では、広告エージェンシーの役割とは?」
「さらに言えば、広告以外で企業や社会に役立とうとした場合、どのような方法があるのか?」
という疑問と向き合わざるを得なくさせる、素晴らしい事例だと思います。




1. Honda “Million Mile Joe”



「エンゲージメント」という言葉が、バズワードを通過し、実態の見えない「便利な用語」として、業務上無意識に使われる事が多くなった今、ホンダのこの姿勢と施策こそ、今注目すべきと感じています。

1996年に、中古のホンダ「アコード」を購入し、15年間それを愛用し続け、累計の走行距離が100万マイル(約160万キロ)となった、ジョー・ロシセロ氏。
その顧客の存在に気づいたホンダは、「Million Mile Joe」という名のFacebookページを立ち上げ、全面的に彼をフューチャー。
そして100万マイルが達成されるその日。
ホンダは、地元の人たちと協力し合いながら、サプライズ・パレードを彼に用意するのです。

愛用し続けてくれる顧客の存在を見逃さず、関係を深めていくこと。
新規見込み顧客への目線だけでなく、「愛用」という長期的な関係づくりへの着目。

長期な関係づくりこそが、今後においては、企業と顧客との関係において、さらには人とモノとの関係においても重要な活動である事を示唆する、非常に重要な、気づきの多い施策だと思います。




3 MINUTES OLDER版、2011年の「Book ベスト10」「Product & Service ベスト10」「Advertising ベスト10」と3つ立て続けにエントリーしてみましたが、いかがでした?

特に最後の「広告編」については、他のメディアではあまり見られないピックアップもあったのではないか?と思います。

テクノロジーや表現の新規性に拠った広告表現は、確かにその時大いに眼を引くものですが、個人的には「インパクトはあれど、その広告寿命の短さ」について多く疑問を持っています。
また「新規性へのインパクトはあれど、その体験を通じて得られる、その商品なりサービスなり企業なりへの意識変容の変わらなさ」についても、疑問は拭えない事例も多くあると感じています。

自分がまず立脚すべきは課題解決である、という点については今後も変わらず持ち続けながらも、新規性とより広い普遍性を併せ持った企画を意識していきたいと思っています。


それでは今年も最後まで読んでいただきありがとうございました。
来年2012年も、どうぞよろしくお願いいたします!


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