「物語」への注目だけで良いのだろうか? (2/2)

日曜日, 9月 25th, 2011. Filed under: feature



さて、それでは2回目のエントリーを。
まずは、物語が施策上で果たす役割について、少々頭を整理してみようかと思います。

当たり前な前提ゴトから整理すると、

「物語」とは、人の注意を引きつける/魅了する一つの手段

というのが、その本質的な性質だと思います。
例えば、キリスト教における「聖書」の存在、がそれにあたる一番分かりやすい例ですね。
イエスにまつわる物語を通じて、人を魅了し、記憶に残し、また広げる役割も果たしていく、というものです。

なので、施策上における物語が果たす役割とは
「ストーリーを語る事で、人を引きつけ、広めていくこと」
と考えると分かりやすいのではないかな、と思います。


ただ、それだけでは人は動きにくい。さらに継続した行動は促進しにくいはずです。
特に、多くの行動の選択が許容されている現代においては。
従来型の「ストーリー」を語るだけで広告が機能しなくなった背景については、
多く指摘されている通りなので、ここでは割愛しますが、ポイントは

「物語によって人を引きつけた後、どうアクションに結びつけていくか?または継続させていくか?」

が本来論点となる、と感じています。
もう少し議論を突っ込むと、

「人を引きつける役割の物語と、セットで語られるべき、もう一側面の要素(=いかに人に行動を促進するか?)が抜け落ちていないか?」

という疑問です。
これがこのエントリーを書くきっかけにあたっていました。
キリスト教に、教会があり、牧師がおり、様々な戒律があるのは何故か?という疑問ですね。


「ストーリー×テクノロジーの組み合わせによってアイデアを新たに開発し、
人が多く使うウェブ・プラットフォーム上で、広めていく。それが現代の作法に合った課題解決の在り方」

のような考え方へ、どうも違和感を感じてしまうのは、
それはアイデアの新規性=面白さは提供できるかもしれないけど、課題を解決する「アクション」への考慮は抜け落ちていない?という疑問を覚えるからでもあります。


そのため、ストーリーを語るだけではなく、相手が利用できるように実体験可能なものにしていく「エモーション(情緒)×ファンクション(機能)」というAKQAの考え方(Fiat “Eco Drive” などがまさにそうですね)には、とても筋の通った妥当性を感じるわけなのです。

そして、この考え方には、(一応)自分のようなインタラクティブの領域にいる立場の人間にとっても、
存在意義を与える考え方だと思っています。
「つないで、掛け合わせる役割」とでも言いましょうか。



ただ、もう少し「間口の広い」方向性もあるのではないか?とも思っていました。
スマホアプリや、ソーシャルメディアが、どれだけ自分の職業範囲外の交友状態では使われているのか?という現状を考えると。


そこでこの間ぼんやりと思っていたのは、「楽しさ」と「他者の為+カンタンさ」という2つの方向性です。

方向性1:「楽しさ」
行為そのものに楽しさを与える事で、アクションを促進する


これは一番分かりやすい事例を見るのが早いと思います。
Volkswagen による “Funtheory.com” ですね。



楽しい!と感じるフィードバックを与えることで行動を促進していく。
つまり楽しさを提供することで、自然に行動も変わっていくような考え方です。
これは教育などの分野では、当たり前のように取り組まれている事だと思います。

物語(Funtheoryでは、ちょっとした人の行動が環境も未来も変えていく、という物語)に合わせ、
行為そのものをエンターテイメント化する事でアクションを誘発する、という方向性は一つあるよね、と感じています。


方向性2:「他者の為+カンタンさ」
他者を中心にした物語とサービスを与え、合わせオペレーションのカンタンさで、アクションを促進する


これも例を挙げると、以前に取り上げた “giftee” などが分かりやすい例だと思います。

Welcome to giftee from giftee official on Vimeo.


ここでのポイントは、必ずしも社会貢献へ限らなくても良い、という点かな、という気がします。
「自分でなく他者の為」なことで、これまでにない需要を作る、そして利便性を与える事で、確実に行動を取ってもらう、という点です。



と、大層な前置きまで置いておきながら、果たしてまとまったのかどうなのか、さっぱり自信はないのですが、
「物語」にまつわる素朴な疑問と、それとセットで語るべきもう一つの側面について
少々頭を整理してみました。

まだまだこの辺、もう少し突っ込んで考えてみたいですね。

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