幸せな出逢い方を作ること (NUMABOOKS “文庫本セット”)

自分の延長になさそうな世界から、一見脈絡なくふっともたらされる出逢い。
例えば映画だったり、音楽だったり、アートだったり、本だったり、漫画だったり、あるいはWebサービスだったり。
そういったふっと出逢いをもたらす接点が「メディア」と呼ばれてきたわけで、それがある時には本屋だったり、あるいはギャラリーだったり、クラブだったり、イベントだったりするのですが、そもそも出逢いの作り方には、このような「場」に向かうベクトル以外にも、もちろんありえます。
例えば、の一つとしてこれまでなかった「本との出会いの作り方」という意味から「NUMABOOKS」というレーベルの活動内容を少し。
本がないはずの場所に本があるということだけでは、もはや新鮮味はありません。
もっと積極的に、かつ自然に。
人が日常生活を送る中に、本の面白さを投げ込める場所を作っていきたいと思います。
と語るレーベル主宰者の内沼晋太郎氏の活動として、
「a book store」という「一日に一冊しか売らない本屋」というコンセプトの書店であったり、
表紙がすべて封筒に包まれた状態で「良い旅を」などと「POPだけ」が書かれた一言だけを頼りに本を選ぶという行為を提案した、ヴィレッジヴァンガードの企画であったり、
と、とても刺激的な新たな本との出逢い方の提案があります。
なかでも、ここで紹介したいのが、過去表参道のスパイラルで行われた「文庫本セット」という提案です。
これはもう二年ほども前の企画ではありますが、たまたま最新号の「BRUTUS」を読んでいて、思い出したので、改めて。

「ケーキセットを注文するように、文庫本とドリンクをセットで注文する」
メニューには、5冊の本のタイトルと、書き出しのワンフレーズが書かれています。
それを、ケーキセットを頼むようにオーダーすると、皿に載せられた文庫本とドリンクがセットで運ばれてきて、読みながら飲む、という素敵な体験が提案されているのです。
この本との出逢い方、すごく幸せな光景だと思いませんか?
提供する方も、される方も。そしてなにより本にとっても。
ネット上におけるあらゆる面でのスピード感は、それは一つの今の流れであるのと同時に、それがそもそもの面白さである事は間違いないのですが、やはり「幸せな出逢いを作ること」こそ、メディアとして最も大切に考えなければならない事、とも思います。
ここで特に思わざるを得ないのは、「この素敵な届け方は、本にとっても幸せに見える」という点です。
そのモノを、そう届けることは、そのモノにとっても幸せに見えるか?
その届け方は、そもそもさもしくないか?文化として貧相ではないか?
出来る限り自問して考えたいものだと思います。

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