固定概念への試金石 (広告は私たちに微笑みかける死体)
「広告は私たちに微笑みかける死体」オリビエーロ トスカーニ
1997年、今から12年前の本ですが、彼の広告同様かなりパンクな本です。




Via : UNITED COLORS OF BENETTON.
これらの広告を見た時、多くの「常識的な」広告人たちの頭に浮かぶのは、
不快感、怒り、嫌悪。それから排除のような感情だと思います。
その理由は、「不幸」や「タブー」を売り物にして、「広告のルール」
を排した「売名行為」に見える、というのが主な理由かな、と思います。
もし、これが新聞や雑誌に掲載されたものならば、きっと見逃されたことでしょう。
が、それが「広告」を手段にするとなったとたんに、
広告に対する固定概念が強ければ強い人ほど、嫌悪感はきっと強くなると思います。
この本、それからトスカーニの広告表現が問うているのは、
私たちのまわりには解決出来ない問題や疑問が山積みだというのに、どうしてアパレル広告は、美しさと憂いのない気楽さだけを題材にしなければならないのだろうか?
という疑問。それから、
決して忘れないでもらいたい。広告が、消費者にとっての最初の間接税だということを。
という認識と、
ベネトンのメッセージ、それは討論すること。
という社会への投げかけです。
それが、最も夢見がちなアパレルの世界に対して、最もシリアスな現状を提示してみせる、
という手法に至っている背景かと思います。
すっごくパンクですよね。
彼がリスペクトするデザイナーに、ヴィヴィアン・ウエストウッドの名を挙げている
理由もよく分かります。
この接触を得ると、「広告とは、モノを広め売ること」という固定概念に対して、
いま一度「広告ってなんだろう?」と思わず考えさせられてしまいます。
もちろん、それが彼の意図なのでしょう。
そして、「ジャンルを超えよ。社会参加を果たせ」という事がメッセージなのだろうと思います。
この本は、今の自分がどれだけ広告に対し、固定概念にとらわれているかを知る、
試金石になる本だと思いました。
彼の広告と、本を読んで、どんな反応を人は示すのか?
それを見るのは、結構面白いと思います。
最後に、彼の考え方を示す、面白いメッセージがあるので、それを一部引用を。
人類史上、もっとも偉大な広告キャンペーンは、イエス・キリストのものである。
そのキャンペーンは、「互いに愛し合いなさい」という普遍的なスローガンを世に送り出した。
それから、十字架という立派なロゴも。
しかし、イエスの広告クリップには広告が嫌悪する<すべて>がある。
キリスト伝説は世の中の苦しみや暴力を何も隠しはしない。
「なぜ、エイズ撲滅キャンペーンで、勃起したペニスに一度もお目にかからないのか」

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