もてなしの心を作る仕組み (リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間)

「リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間」
高野 登 (著)

ホテル業において、お客様との大きな接点である「人」、つまり従業員に対して、
どのようにそのポスピタリティの精神を育ませ、維持させているのか?
この仕組みづくり(マニュアルではなく)が、エピソードと共に分かりやすくまとめられた本です。

この本は、ブランドマネジメントの本として読むと、
どう自分たちにも活用できるか?のヒントに溢れていることがわかると思います。

たとえば、
「リッツ・カールトンを支える七つの仕事の基本」について。

1. Pride & Joy
誇りと喜びを持てば意欲が沸く

リッツ・カールトンではお客様からの感謝の声を「ファーストクラスカード」と称する紙に書いてもらい、それを後で皆の前で表彰し、評価の対象とする制度があるそうです。
仕事で励みになるのは、お金でも待遇でもなく、誇りと喜び。
それを刺激し、評価する仕組みを用意することが、やる気を作る。

これを最初に掲げている点に、リッツ・カールトンの姿勢が伝わってくる気がします。


2. Don’t think. Feel
考える前に、お客様の温度を感じなさい

自分たちは直感的に、人や店が発するメッセージを温度として感じ取っています。
そして自分たちが発する空気に気を配るのと同時に、お客様の気分やニーズも、その温度から感じ取っていたりします。
それは、Webコミュニケーションにおいて、エントリー一つ、tweet一つ、コメント一つをとっても言えることだと思います。
仕組みやルール以前に、温度のある気持ちがそこに載っているか?
忘れがちですが、こういった言葉ではっとさせられます。


3. Let’s have fun
仕事を楽しめば自分の感性が発揮できる

どんな仕事も、やり方次第で自分の感性やイマジネーションを発揮できる舞台にすることができる。
そして、自分たちが楽しみながら仕事をしていれば、それは温度となってお客様にも伝わってくる。
サービスの神髄は、まさにここだと思います。


4. Celebration
お祝いしたいと思う気持ちがサービスの質を高める

スタッフが普段から祝う習慣を身につけていれば、お客様のちょっとした言動にも反応してお祝いの言葉やサービス表現をすることができる。
「もてなし体質」を作る習慣を、「仕組み」としても用意する。
ここまで来ると、サービス人を育て、作る。そこにどれだけリッツ・カールトンはフォーカスしているか、がよく分かると思います。


5. Chicken Soup for the Soul
優しさは仕事人としての必須条件

リッツ・カールトンの使命は、お客様に幸せな気分を感じていただくこと。
お客様が疲れている、傷ついている時こそ、精一杯のサービスをして温かい気持ちになっていただこう。
「優しい気持ち」「愛する気持ち」が、相手へサービスする時の前提。
ここまで徹底されていると説得力が違います。


6. Passion
情熱は組織を動かす大きなエネルギーになる

パッションは、行動するエネルギー、人を動かすエネルギー、自分の夢に人を巻き込むエネルギー。
このエネルギーがないと、どんなに素晴らしい理念や仕組みも動き出しません。
パッションは少しずつではあるかもしれないが、伝染するもの。それが情熱的なチームを作っていくという、ポジティブな考え方です。


7. Empowerment
お客様の願望をスピード解決

現場の最前線に立つ人間に、権限をゆだねる。
それが、スピードを持って、お客様のニーズを解消する最大の機会になる。
上6つで見てきた事を経過しているスタッフには、そうすることが最も効率的で、自然な試みであることがよく分かります。


後は、新たに迎えるスタッフについての考え方。
ここにも、素敵な仕組みがあります。

新しいスタッフは、初日からいきなりすれ違うスタッフに名前で呼ばれ、声をかけてもられるそうです。
「なぜ、自分の顔と名前を知ってるの?」と思うのですが、
スタッフには「○月○日に、○○さんが入社します。みなさんでウェルカムしましょう」と
数日前から告知してあるそうです。
この辺、提供しているリッツ・カールトンのサービスが、インナーでも同じように行われていることが分かり、とても共感が持てます。


まずは温かく迎え入れることで、不安は安心へと変わり、それはすぐに期待や信頼、そして自信へと変わっていきます。



そして最も、ぐさっと刺さったのが、



企業が犯す最大の罪は、従業員にビジョンなき仕事をさせること。

従業員の感性を鈍らせてしまうのは、単純作業や地味な仕事ではなく、「ビジョンなき仕事」なのです。


という言葉。

その一見地味な作業は、自分たちのビジョンを達成するためにどう意味があるのか。
この説明義務を自覚し、行っている点です。


大切なのは、頭で考えるプロセスです。
マニュアル化して「ああしなさい、こうしなさい」と教えても、企業のビジョンを浸透させることはできません。
そして毎日欠かさず行うことに意味があります。
たとえ数分でも、自分で考える時間を毎日作る。それがビジョンを自分のものにしていくのです。


最上位に、ビジョンを示したクレドがあり、
それが実現できるための、誇りや喜びを与える日常の仕組みがあり、
そのうえで、プラスαのサービスを提供できるための権限を与える。

一言で書くと、こういったことなのですが、
やはり最終的に落ち着くべきところとは、

ホスピタリティとは、心からのおもてなしをすることです。
つまり、お客様に愛情を示すことです。
その愛情の気持ちを持って接するだけでも、自然に行動に表れて、それが心からのおもてなしにつながっていくのです。


この「愛情」という点に、尽きるのだろうと思います。
自社都合でない、技術や設備へ依存するのでもない。まずは「心」で持ってもてなす。

なんだか引用ばかりになりましたが、
「心でもてなす」
というテーマにおいて、どうその仕組みを作り、日々実践していくか?について
ヒントがあまりに富んでいたので、整理もかねて今日はしてみました。

いつも手に届くところに置いておきたいと思う、良い本です。