或るクラウドソーシングのかたち (夢の病院をつくろうPROJECT)

Posted by kUtsunomiya | Posted in Inspiration, Social Media, Web Site | Posted on 30-10-2009

夢の病院をつくろうPROJECT
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医療の先進国である日本で、まだひとつもない、小児がんの専門病院。
それを、まずひとつ、つくりたい。
つくるなら、中途半端なものではなく、夢の詰まった病院にしたい。




その目的のために、このプロジェクトが取った手段が、「こんな病院があったら」という
「夢の病院アイテムのアイデアを募る&そのアイデアを買ってもらう」
参加と寄付のしくみです。

たとえば、こんなアイテムが寄せられ、購入されています。
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「こうあったらいい」という夢のアイデアから入る事とは、ゴールからスタートするということ。
一見地味に見えるかもしれませんが、目的へ近づくための最短距離のアプローチであるとも言えます。

後は、それがいかに「見える化」できるか?
達成感や実現していく感が打ち出せるか?
そこが今後の課題であり、成功要因であるかと思いますが、
「まず夢から人を巻き込む」という、このアプローチにとても共感しました。

真ん中にあるコンセプトがぶれていない、という点。
親和性があると思われるソーシャルメディアとのコミュニケーション連携などの話も
それは「手段」として、あくまでその後に来ることなので、
とても地に足がついている考え方だと思います。

だからこそ、成長していくポテンシャルは持っているように感じます。
あくまで草の根な路線として。

多くのクラウドソーシングプロジェクトに見られるニュース性はないかもしれませんが、
逆にアイデアが浮き彫りになっている分、その本質に共感を覚えます。

地道に経過を見続けたいと思うプロジェクトです。

WEBメディアを作ってしまうというプロモーション発想/しかも徹底的に (daily vitamins)

Posted by kUtsunomiya | Posted in Inspiration, Marketing, Social Media | Posted on 29-10-2009

もう3ヶ月程にも経っているプロジェクトではありますが、
伊藤ガビン氏編集長、そして「全力でヒマをつぶしにいきます」がコンセプトの「daily vitamins」。

daily vitamins
daily vitamins

「vitamin water」をプロモーションするには、全く脈絡のない、
「デイリーポータルZ」が想起される程の、くだらなさ満載のメディアとなっています。

「vitamin water」のWEBコミュニケーション活動としては、
販促活動を伝えるWEB窓口として、Blogがきちんと機能していますし、
商品を伝えるためのブランドサイトも十分な要素は持っていると思います。
つまり必要な領域は、すでに十分ある、という状態です。

なのに、、このサイトがあらゆる面で最も創り込まれている、ように見えてきます。
しかもタグライン通り、「全力で」エンターテイメントの方向に。

スピードと効率性が特に優先され、かつ収益性が先ず求められる今のネットの世界で、
ここまで振切ったエンターテイメントの提供を仕掛けた人たち、そして意思決定者たちに、
ある意味すごくポジティブな未来を感じてしまいました。

実のところを言ってしまえば、
WEB広告の領域におけるタイアップ企画や、ブランデッドエンターテイメントの類いは、
自分はほとんど見なく、面白みも感じられなかったりします。
また、PV数を基準としたWEBメディアの広告収益モデルにも、どうにもドキドキする未来が
感じられなかったりしています。

しかしながら、デイリーポータルZは毎日のようにチェックしていますし、
このサイトの姿勢も同じ感覚で好きです。一生活者としての普通な感覚という意味で。

やはり、「面白い人たちによる、情報の編集/紹介」という観点は、
たとえ情報が多くなったとしても、いや、情報の流通が多くなればなるほど、
価値が高くなる傾向にあると思います。

だから、存在の価値はある。

その最も代表的なメディア例が「ほぼ日刊イトイ新聞」でしょう。
「ウェブはバカと暇人のもの」という言葉もありますが、
やはり人はエンターテイメントを求めます。
だからその道を純粋に選択し追求する事には、とても素敵な未来への
チャンスがあると自分は考えています。

自分たちをメディア化してしまう。
企業や商品/サービス自身の姿は隠れてしまってもいい。
まずは徹底的に面白い情報を提供することだけにフォーカスする。
これは「面白い/有用な情報に人は集まる」という、WEBの特性を活かした
コミュニケーション戦略として、極めて健全な選択肢だと思います。

情報が少ない中での推測部分が主ではありますが、
一商品のプロモーション活動で、ここまで本気に面白いWEBメディアを
提供しようとする試みは、初めて見たような気がします。

今後も注目です。

「セットで体験」本質的なプロモーションの考え方 (9-9-9-9-9.com)

Posted by kUtsunomiya | Posted in Inspiration, Marketing, Web Site | Posted on 28-10-2009

音楽体験と、WEBプロモーション体験。
これまで、ばらばらで動いてきたそのコミュニケーションのあり方に、
新たな考え方を提案していると思う試みです。

9-9-9-9-9.com
9-9-9-9-9.com



このアルバムはWEBサイトとの連動アルバムとなっております。

アルバムCD [9-9-9-9-9.com] をオーディオプレイヤーで視聴しながら、
各楽曲のリズムにあわせてWEBサイトの画面を[TAP TEMPO]カーソルで
4回クリックすると、再生中の楽曲が判別され、その楽曲にマッチした映像や
サウンドトラックがWEBサイト上で再生されます。

CDだけでも、WEBだけでも体験できない新しいサウンドスケープをお楽しみください。





つまり、
「CDを買い」
「曲を聴きながら」
「ウェブサイトにアクセスすることで」
「そこで初めて得られる体験(理解できる体験)がある」

という仕組みです。

この考え方は、プロモーションとしての視点としてよりも、
素敵なファンサービスとして帰結している点に素晴らしさがあると思います。

これだけ音楽の流通手段が増えている中で、
特定のアーティストのCDを買うことというのは、
やはり自分たちにとって特別な行為だと思います。

なぜ気づかなかったんだろう、と思う秀逸なアイデアですが、逆に言うと
買ってくれた人へきちんと答えようという視点、あるいは
もっとファンの人たちを楽しませたいねという想いが、足らなかった
と言えるのかもしれません。
それはアーティスト側というよりも、プロモーションの提供側に。

一見とても新しい試みなのですが、体験を届けるうえで大事なことが見えてくる企画だと思います。
これまで思考停止状態となっていた慣習や常識を疑わせる力を持った、優れた提案です。

ストーリーとデザインで違いを創る (AN ECOL.)

Posted by kUtsunomiya | Posted in Inspiration, Marketing | Posted on 27-10-2009

充電器/充電池に、新しいストーリーとデザインの提案をする試みです。

AN ECOL.
AN ECOL




生活空間に溶け込み、身近に感じて愛着がわく事、
充電器/充電池を使用した事がない人でも簡単に使用できる事、
それらを基本のコンセプトとしています。

そしてこの商品によって、環境問題に意識を向けてもらう
ひとつのきっかけになればと考えています。






“エコロジー” を意味する「ECOL.」に
“ひとつの” の意味を持つ冠詞の「AN」を用いて
「AN ECOL.」としています。




素晴らしく分かりやすいストーリー、そしてデザインへの帰結だと思います。

「どうしたら、充電器/充電池は、もっと素敵に人の生活に入り込めるか?」
「どうしたら、この商品は環境へもっと寄与することができるか?」


その問題意識へ、真っ正面から取り組んだ結果の提案なのだろうと思います。
そのプロセスにごまかしが見えてこない点に、一生活者としてとても共感できるし、
一作り手、考え手として、学ぶべき点も多くあると思います。

こういう素晴らしい着想と提案が、
これから商品/サービスにおける違いの源泉となるし、競争の源泉になることでしょう。

「Idea Frames」で手に取れるそうなので、週末ちょっと見てみようと思います。

既知なプラットフォームを拡張現実として使う (”EDITORS” Google Street View London Hack)

Posted by kUtsunomiya | Posted in Inspiration, Social Media, Web Site | Posted on 27-10-2009

これまでにも、「プラットフォームの特性を使ったクリエイション (Folder Type)」などで
取り上げてきた文脈上にあるものですが、今回は “Google Street View” を
音楽のプロモーションの仕掛けとした、ちょっと面白い試みの事例です。

EDITORS – In This Light And On This Evening – Google Street View London Hack / Mashup
EDITORS

イギリスのバンド “Editors” による、新曲 “In This Light and on This Evening” の
プロモーションサイトですが、アクセスすると、そこにあるのはGoogle Street Viewの世界。
画面右側には、曲が購入できるオーダーリンクがあり、
左側には、レーダーのようなものがあります。
そしてそのレーダーをたどり「探索行為」することでアーティスト達に逢える、という仕組みです。

が、ここで面白いのは、Google Street View を使った手法もそうですが、
それよりも、このサイト体験がいわゆる「拡張現実」の形になっている点です。

アーティストを発見するというゲーム性だけでなく、現実感を持っているんですね。
その拡張現実内で遭遇したアーティストに、妙に親近感を持ってしまう、という。

Google Street Viewは、特にARGに関していえば、親和性あるプラットフォームの
一つである事は間違いないと思いますが、
アーティストプロモーションのような「親近感を持って欲しいと思っているケース」にも
これは十分使える手法だと感じました。

一方、Google Street Viewを、企業の商品/サービスのプロモーションで使うことに
これまでぴんと来なかったのは、たとえゲーム性を持たせたとしても、
ストーリーが希薄であったり、そこに生な人が見えない点にあったような気がします。


とはいえ、この既知のプラットフォームを拡張現実の体験手段として使うことで、
親近感/没入感を与えて行く考え方、今後さらに加速していくのだろうと思います。

逆の発想のサイネージ (Hand From Above)

Posted by kUtsunomiya | Posted in Inspiration, OOH | Posted on 26-10-2009

対峙する人の、アクションなどのインプットに対して、何かしらのフィードバックを返す。
そこにインタラクティブメディアならではの、楽しさや利便性を提供していく。
これが、デジタルサイネージのこれまでの発想の基本となる文脈だったかと思います。

が、この作品は全く発想の視点がちがう。これまでとは真逆なものです。

Hand from Above from Chris O'Shea on Vimeo.



映し出された人。この人たちに何かしてね、と呼びかけるわけでなく、
「素敵にイタズラする」ことで、ほんの少しのコミュニケーションを発生させています。

ここで素晴らしいと思うのは、単にイタズラする、やジャックする、という発想ではなく、
あくまで「素敵にイタズラする」という事。

こういうサイネージは見た事がなかったような気がします。
発想の温度が、ちょっとだけ高い。人肌な感じがするんですね。心が少し動く感覚。

そして、サイネージの最大のポイントはここだとも感じました。
よけいなお世話にも、一方的な表現の押しつけにもならない、「ちょっと」なトーン。
この微妙なトーン感覚、とても参考になると思います。

「気になる状況」を作る (” NINJA GAIDEN SIGMA 2 ” Kunoichi)

Posted by kUtsunomiya | Posted in Inspiration, OOH | Posted on 26-10-2009

PS3用アクションゲーム「NINJA GAIDEN Σ2」のプロモーションOOHが、
一見くだらない、でも素晴らしいです。



つい気になってしまう、近づいてしまう、そしてさわりたくもなってしまう。
この状況づくり、素晴らしいと思います(たとえお色気路線であっても)。

やはり、人の行動を即すためには、身体的または生理的なトリガーが、
最も強力な要素である事が読み取れます。


そして、ここにインタラクティブなOOHの、行く先のヒントがあるような気がします。

「表現」でしか伝えられないこと

Posted by kUtsunomiya | Posted in Inspiration, PV | Posted on 23-10-2009

今週は過去の作品含め、素敵な映像表現に出逢う事がなぜか多かったので、少々整理を。

「記憶全景」dir : 横田 将士


日常的な風景を撮影した写真を出力し、一枚ずつ切り取って重ね合わせていく。
それがコマ撮りによって、立体的なアニメーション映像へと変化していく。

立体として動きだしていく映像と、極めて日常的な風景の写真とのバランス感。
これが、胸がきゅっと締め付けられるような、静かで暖かい感覚へと包まれて行きます。
ストーリーがあるわけでない映像なのに、なぜかとても心が満たされていく感じがする。
作り手の目線に、愛情が満ちている感じがなぜかする。
そんな、自分の感覚が少し開いていくような気がする、素晴らしい作品です。



「Little Criminals」dir : Tony Gaddis

Little Criminals from Jon Hardy & The Public on Vimeo.


モノクロの静止画によるストップモーションと、光、モーフィング、そして音楽。
これらを全て掛け合わせた時のかっこよさ。そこに尽きるのだろうと思います。

掛け合わせる要素数の程よいバランスの多さと、
ギターやアンプなど何を掛け合わせればかっこいいか、を確信的にチョイスしている視点。
それが、ロックの持つ、シンプルなかっこよさへ着地出来ているポイントなのだろうと思います。



「Videogioco」dir : Donato Sansone

VIDEOGIOCO by Donato Sansone from Enrico Ascoli – Sound Design on Vimeo.


折り畳みの絵本。これを部屋中に敷き詰め、指で一枚ずつめくっていくと、
縦横無尽に広がるパラパラ漫画が展開されていく。
広がりつながるパラパラ漫画。すごく素敵な発想だと思います。



この3つの作品を観るだけでも、「どう伝えるか?」の表現だけが持つ力の強さを感じます。

例えば、統合的なコミュニケーションに触れるときには、
仕組み論に走りがちな傾向が強いのではないかと思います(自分も含めて)。
でも、その中であっても「感じること」の大切さも忘れない事。
そういう事だと思います。

「表現だけでしか、伝えられないこと」を知ることの大事さ。




人の心を動かすのはやっぱりテクノロジーや仕組みではなくて表現なんです。
ー GT伊藤直樹


一見、予定不調和。でも予定調和なソリューション (”Droga5″ million NY education-desktop)

Posted by kUtsunomiya | Posted in Inspiration, Marketing, Strategy | Posted on 20-10-2009

すでに1年以上も前な試みですが、今見ても、素晴らしい施策だと思います。


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「子供たちの学業へのモチベーションを上げること」のお題に対し、
「携帯電話を無料で与える」というソリューションを提供しています。

初期設定の時点で、一台に付き130分の無料通話がついており、
子供たちが学校で良い成績を取ったり、良い行いをした場合に、「特典」としてポイントが加算され、
無料通話時間が加算される、というのがその仕組みです。


そして、時には人気のアーティストからメッセージが届いたり、ウェイクアップコールがもらえたり。
学生ならきっとうれしいだろうと思う仕掛けも秀逸。

またGPSを使い、構内ではスケジュールと計算機機能以外、電話としての機能は
使用できなくなる制限をかけている点やそれにより出席状況を可視化している点も
携帯ならではの機能を活用しており、素晴らしいと思います。


インサイトワークとテクノロジーへの理解から
これまでの解決策とは全く異なる、一見、予定不調和な、
でも実は予定調和なソリューションを提供していく事こそ、
コミュニケーションデザインとして求められる領域なのだろうと改めて思います。

「伝わる」ために必要なこと (「伝わる」のルール)

Posted by kUtsunomiya | Posted in Book, Inspiration | Posted on 18-10-2009

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読んでから、はや1ヶ月経っていましたが、GT伊藤直樹さんによる新刊。

はっとする「気づき」が与えられ、
その奥深さを、刺激と共に「知り」、
自分の思考と行動の浅さに「反省」し、
「ポジティブに」でも「より謙虚」に追求していこうと、改められる。

これは多くの本が持つ役割の一つかと思いますが、その意味で、この領域における本で、
ここまで逃げずに本質的な言葉で語られた本は、そうそう無いのではないかと思います。

例えば、インタラクティブなコミュニケーション体験を創ることについてのたとえとして。



インタラクティブを使ったコミュニケーションは、「お化け屋敷」に似ていると思うんです。つまり、お客さんに対してこちらから働きかけ、そこで起こった行動に対してさらに働きかけ・・・と
相互関係をつくり出していくことで、カタルシスのある「体験」を提供している。
そういうものがインタラクティブを用いたコミュニケーションの基本だとぼくは考えています。





これからの広告は、この「遊園地のアトラクションづくり」に似たものになっていくと思うんですよ。
カタルシスのあるさまざまな「体験」を受け手に提供することで、企業やブランドとの「つながり」を深めてもらったり、メッセージを感じてもらったりして・・・。
そうでなければ伝わらなくなったということもありますが、そのほうがずっとよく伝わるんです。
頭でわかるだけでなく、身体で感じてもらうわけですから。






いわば、どういう「お化け屋敷」にすれば、きちんと伝えたいことが伝えられるのかという目線で、広告の企画を考える時代になりつつある、ということです。
そして、そのベースにあるのが、「体験」のプロデュースというコミュニケーションであり、
インタラクティブというコミュニケーションの形態なんです。




とかくシンプルで分かりやすい。伊藤さんの企画に通じる分かりやすさが持つ、伝達力の強さが感じられます。

インタラクティブなコミュニケーションで最も必要なのは、「謙虚さ」だと自分は思っています。

講義でも、本でも、仕事でも、そして広告を接する人に対しても。
だから結果的に、そのコミュニケーションがインタラクティブなものとして成立できる、
そう捉えることもできると思います。
メディアがどうの、とか、WEBがどうの、という話では一切なく、それはまず姿勢の話だと思うのです。

広告の領域において「これ、すげえだろ」や「これ、流行っているから」の意図から
一方的に行っているものであれば、それがWEBのどんな新しいテクノロジーを使ったものであっても、
全くインタラクティブなコミュニケーションとはなりえないと思います。
そこにインサイトから帰結した「理由」がない限りは。




大事なのは、受け手がその広告に接したときの反応を想像することでしょうね。
グラフィックであれ、テレビCMであれ、どんな広告をつくるときにも
あてはまることだと思いますが、インタラクティブを用いる場合には、
そこが命といっていいくらい重要です。






広告に接した人がどう思うかを徹底的に検証するんです。
そのイメージが的確にできないと、うまく伝わるか、どのくらい話題になるかと
いった肝心なところが読めません。

つまり、人の行動をデザインするというか、ある種の「空間導線」を企画のなかに
埋め込むことができるようになるんです。





伊藤さんのインタラクティブに対する核の考え方(あるいは良心)が、見えてくる言葉だと思います。


あとは「伝わる」ために、どこまで逃げずにこだわれるか。
そこがこの本から得られる、もう一つの大きな気づきだと思います。




ぼくは打ち合わせのときに、全員がおもしろがるものが出るまでは、
企画を決めないことにしているのですが、
そこで全員が盛り上がるような企画は、間違いなくいいアイディアで、
いい広告になるんです。





企画のよしあしは、やはりビッグアイディアで決まるということでしょうかね。
ぼくの仕事でいうと、ハンゲームのキャンペーンだったら「人生の半分は、ゲームだ。」が
ビッグアイディアです。
「BIG SHADOW」なら、「影遊び」でしょうか。
いわば、企画の中心、真ん中の部分。
まずは、そこを見つけることです。
そのうえで、ビッグアイディアを囲むようなイメージで、
メディア展開の仕方や、コピー、デザインといった表現などのキャンペーンを構成する
すべてを考えていくんです。






目標は、3行で企画書のサマリーのようにして書けるところまでシンプルにすることですね。
「LOVE DISTANCE」なら、
「遠距離恋愛中の男女ふたりを、出会うまで実際に走らせる」。
シンプルだからそこからいろんな展開もできるし、シンプルだからブレないんです。
それに、シンプルだと、わかりやすい。
もうひとつ、ビッグアイディアがシンプルになっていると、人の口の端に乗りやすくなるんです。
評判をつくろうと思ったら、口の端に乗りやすくしてやらなくちゃいけないんです。





伊藤さんの企画は、すべてビジュアルがすぐに浮かび上がり、とかくシンプルなものが
ほぼ全てと言ってよいかと思います。
「企画の中心、真ん中の部分。」そこに至るまで、逃げずに思考を深めて行く。
この言葉を読むだけで、自分にとっては反省することしきりだったりします。

そしてインタラクティブの領域における、以下のような見方。
こういった言葉を今発せられる人は、少ないと思いますし、だからこそこの本の意義はあるのだと思いました。




やっぱりメッセージは表現で伝えるものなんですよ。
もしかしたら、表現でなきゃ伝わらないといってもいいかもしれないくらいです。
このことは、ぜひ肝に銘じておいて欲しい。





人の心を動かすのはやっぱりテクノロジーや仕組みではなくて表現なんです。
ほかのメディアを見ても、それは明らかでしょう。
ウェブはまだ新しいメディアですから、いまはテクノロジーや仕組み、インターフェースといった
部分がフューチャーされていますが、この先ずっと同じスタンスであるはずはない。
メディアとしてある程度の成熟を遂げたら、あとは表現とコンテンツのことしか
語られないんじゃないかとぼくは思っています。





ほぼ引用ばかりではありましたが、
自分の出来ていなさを痛感するのと同時に、体験を企てることへのヒントが詰まった良書でした。
改めて、積極的に人に薦めたいと思います。